本田技研工業の株価予想 2025-2030:電気自動車と新事業の成長戦略が鍵
1. はじめに:自動車産業の変革期と本田のポジション
- 世界的なEVシフトの加速
各国政府がガソリン車の販売禁止を宣言(EUは2035年、中国は2035年目標)する中、自動車メーカーのEV戦略が株価に直結。本田は「2040年までに全球販売の100%をEV・FCV(燃料電池車)化」を目標に掲げるが、競合他社と比べて出遅れているとの指摘も。 - 本田の強みと課題
二輪車事業(世界シェア約30%)や汎用製品(発電機、ロボット等)の多角化が収益の安定化に寄与。一方、四輪車のEV化への投資負担や半導体不足の影響が懸念材料。

2. 2025年までの短期予想:EV戦略の具体化と収益性の評価
- EVモデルの投入ラッシュ
本田は2024年から北米で「Prologue」、中国で「e:Nシリーズ」を投入。2025年までにグローバルで10モデル以上のEVを展開予定。これらの市場反応が株価の短期的な方向性を決定。 - バッテリー調達とコスト管理
全固体電池の開発(2024年試作開始)やGMとの提携(北米向け低コストEV)が鍵。バッテリー価格の高騰が収益を圧迫するリスクも。 - 株価の予想範囲(2025年末)
アナリスト予想は3,500円~4,500円(2023年比+20~50%)。EV販売台数が年間30万台を超えれば上限に近づく可能性。
3. 2026-2028年:新技術の実用化と収益構造の転換
- 全固体電池の量産化(2028年目標)
航続距離800km超・充電時間10分以下を実現すれば、EV競争で優位性を確立。ただし、テスラやBYDの技術進化も脅威。 - ソフトウェア収益の拡大
2026年までに「Honda Connect」の機能拡充(自動運転L3対応、サブスクリプション収益)を計画。ソフトウェア依存型ビジネスへの移行が株価評価を向上させる可能性。 - 二輪車のEV化進展
インドや東南アジア市場で電動二輪車(例:本田「EM1 e:」)が普及すれば、新興国での収益基盤を強化。
4. 2030年の長期展望:カーボンニュートラルと新事業の成長
- 航空宇宙事業の貢献
HondaJetの次世代モデルやeVTOL(電動垂直離着陸機)の開発が進展。2030年までに航空事業が売上高1兆円規模に成長すれば、株価のプレミアム要因に。 - モビリティサービスとMaaS
自動運転技術を活用したロボタクシーや、二輪車シェアリングの拡大。本田が「モノ売り」から「サービス売り」へ転換できるかが焦点。 - 水素エンジンの可能性
商用車・建設機械向けの水素内燃機関開発が進めば、脱炭素分野で独自の地位を確立。

5. リスク要因と株価への影響
- 競合他社の動向
テスラの価格戦略や中国メーカー(BYD、NIO)の台頭がEV市場の収益性を圧迫。 - 地政学リスク
台湾情勢や米中対立によるサプライチェーン分断が生産に影響。 - 為替変動
円安が輸出企業の利益を押し上げる一方、原材料輸入コスト増のデメリットも。
6. アナリスト予想のまとめと投資戦略
- 2030年の株価予想
楽観シナリオ:8,000円(技術革新とEVシェア拡大)
ベースシナリオ:6,000円(現行計画の着実な実行)
悲観シナリオ:3,500円(EV遅延・競合敗退) - 投資判断のポイント
- EV販売台数の四半期ごとの進捗確認
- 全固体電池の開発状況に関するアナウンス
- 北米・中国市場のシェア変動

7. 結論:持続的成長のためには「選択と集中」が必要
本田の株価上昇には、従来のガソリン車事業から得たキャッシュをいかにEV・新事業に再投資できるかが鍵。2030年までに「自動車メーカー」から「総合モビリティ企業」へ変貌を遂げられるかが、長期投資家の評価を分ける。